経営ダッシュボードを作る時に、何を作ればいいかを解説します。
- プロジェクトに任命されたのですが、何を作っていいか悩んでいる人。
- プロジェクトが始まったが、みんなが思い思いの経営ダッシュボードを提案して進まない場合
の人に役に立ちます。
経営ダッシュボードを充実させるステップとして次の3段階があります。
- 基礎:一般的なデータをダッシュボードで表示
- 標準:KPIをダッシュボードで表示
- 応用:分析目的のダッシュボード
この記事では
「基礎:一般的なデータをダッシュボードで表示」
について説明します。
標準や応用のダッシュボードを作る上でも基礎のダッシュボードを使います。
ですので、標準や応用レベルのダッシュボードを作りたい方も、ぜひご覧ください。
この記事の内容は情報システム部が経営ダッシュボードを提案するという事を想定して書いています。
前章の記事
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフローのダッシュボード作成
- 損益計算書
- 貸借対照表
- キャッシュフロー計算書
は経営層の方は必ず知っている内容です。
どの会社でも定義は同じで必ず作る資料です。
そのため自社の状況と他社の状況を比較することができます。
企業では一番重要な情報です。
そのため「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」のダッシュボード作成を第一の目標とします。
損益計算書と貸借対照表はこのような表です。
写真はビジドラから引用
*損益計算書と貸借対照表に関してわかりやすい説明が載っていますので、詳しく知りたい方はリンクから参照してください。
損益計算書のPower BI 経営ダッシュボードのサンプル
こちらがサンプルとして作成した損益計算書です。
現在値と過去の推移のみで立派なダッシュボードを作成できます。
Power BIでの作成方法はこちらの記事をご参照ください。
貸借対照表のPower BI 経営ダッシュボードのサンプル
こちらが作成したダッシュボードのイメージです。
作成方法は下記の記事を参照してください。
損益計算書のPower BIを元にしていまので、そちらの記事も参照してください。
キャッシュフロー計算書のPower BI 経営ダッシュボードのサンプル
こちらがサンプルとして作成したキャッシュフロー計算書です。
作成方法は下記の記事を参照してください
ダッシュボードの作成手順
損益計算書と貸借対照表の元データを作るのはとてもたいへんです。
初めから完ぺきに作る必要はありません。
徐々に内容を充実していけば大丈夫です。
完ぺきにしようとして作るのに時間をかかる方がリスクが大きいです。
ダッシュボードを充実させていく手順を書きます。
1.損益計算書と貸借対照表のダッシュボードをデモする
私がサンプルで作成したダッシュボードのレベルでいいです。
それをデモして、データをもらえるように経理に打診します。
2.実際のデータをもらい、ダッシュボード用のデータとして打ち込む
- 損益計算書と貸借対照表のレポートは経理で作っている
- 経営分析したレポートも経理で作っている
以上の状況から、
「遅れたデータでダッシュボードを作る意味がないのでは?」
と感じる人も多いと思います。
多くの人は見て触って初めてアイデアが出てきます。
早めに触れる環境を作ることはシステムを作成する上で重要です。
3.データの更新頻度と自動化の検討
現在のレポートの作成頻度が四半期ごとでしたら、月ごとにできないか?
月ごとでしたら週や日にできないかを検討します。
また手作業がある場合、できる限り自動化する方法を検討します。
この作業は経営ダッシュボードの作業とは少し離れます。
情報システム部でしたら本業部分なのでこちらを推進します。
- 経営ダッシュボードをデモして目的が明確になっている
- デモの内容を気に入ってくれれば推進に強力なサポートとなる
という事で、過去データでも実データでデモすることはここで生きてきます。
次に更新サイクルの頻度アップと自動化をする作業と並行して、次の章のダッシュボード作成作業を進めます。
補助元帳などのダッシュボード作成
先ほどは総勘定元帳のデータを使ったダッシュボード作成でした。
次に補助元帳や他のデータのダッシュボードの作成に移ります。
作成するのに必要な情報を整理します。
在庫管理、固定資産管理、生産工程管理、給与管理
など必要な情報はまだたくさんありますが、今回は発注と受注のみに話を絞ります。
上の図の一つ一つのボックスに対して必要なダッシュボードを考えます。
「受注だったら何の情報が必要かなー」
と考えていくと個々の業務に詳しくないと考えられません。
一見すごくたいへんな作業に見えます。
ですが、このリストアップは簡単です。
たった一つのルールにそって作っていけばいいです。
一つの業務に対して
- Input :入ってくるデータのレポート
- 状態 :残っているデータのレポート
- Output:出ていくデータのレポート
の3種類を作るのです。
これはどのモジュールにも当てはまります。
総勘定元帳
Input :損益計算書
状態 :貸借対照表
Output:なし
売掛管理
Input :売上
状態 :売掛残
Output:回収
買掛管理
Input :検収
状態 :買掛残
Output:支払い
受注管理
Input :受注
状態 :受注残
Output:売上
発注管理
Input :発注
状態 :発注残
Output:検収
商談管理
Input :新規商談
状態 :商談中
Output:受注
発注予測
Input :なし
状態 :発注予測
Output:発注
作成するダッシュボードは以上です。
「Input、状態、Outputのダッシュボードを作る」
は重要なノウハウです。
この記事はこれだけ覚えておけば十分なぐらいです。
まとめ
ダッシュボードの開発の手順は下記の手順となります。
- 業務担当部門にデモをして協力を求める
- 実際のデータを使ってサンプルを作る。データは手で作成していい。
- 業務担当部門に作成したダッシュボードを使ってもらう
- 更新サイクルの短縮化と自動化を検討し、進める
作成するダッシュボードは次の3種類です
- Inputデータ
- 状態
- Outputデータ
初期段階では現在の値と過去の値だけで十分です。
分析軸の項目の検討は後にします。
次回は
標準:KPIをダッシュボードで表示
について説明します。